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Webサイトの要件定義。実施前に押さえておきたい要素・進めかたをご説明

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Webサイトの要件定義。実施前に押さえておきたい要素・進めかたをご説明

はじめに

デザインやCMSの開発など、サイト構築で具体的に「作る」作業に入る前におこなう工程のひとつが「要件定義」です。要件定義で定めるべき内容はある程度共通化されているものの、明確な定義やルールはなく、定めた内容の「質」がそのままサイトの「質」や公開後の運営時の業務に大きく影響を与える非常に重要な工程です。

定義やルールはないものの、内容はサイトに大きく影響を及ぼす要件定義ですが、企業のご担当者さまで要件定義の経験を豊富にお持ちで、進める前から要件定義で検討・確認すべきポイントがだいたい把握できている、といったケースは恐らくほぼ稀ではないでしょうか。

そのため、ご担当者さまとしてはサイト構築会社が主体となって進めていく要件定義の内容や進めかたに対して「良いのか悪いのか」や「不足している箇所はないのか」といった点を検討・判断する軸を持たないまま、この工程を進めざるを得ない状態になってしまいます。

そこで今回は要件定義を出来るだけスムーズに進め、企業ご担当者さまが要件定義という工程を通じてより良いWebサイトを構築するための本質的な議論ができるよう、押さえておきたい要素や進めかたについてご説明します。

 

要件定義はどうして重要なのか

工程としては非常に重要とお伝えした要件定義ですが、意外にもその必要性や重要性について「腹落ち」していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。24.incでも企業さまのWebサイトの新規構築やリニューアル時に要件定義を数多くおこなっていますが、

「要件定義に多くの時間をかける必要ってやっぱりあるんですかね…」
「要件定義はシンプルに、制作も並行して進めることはできますか?」

といった意見を聞いたり、印象を持たれているケースも過去には少なくありませんでした(今はずいぶん少なくなりましたが…)

たしかにサイト構築会社である我々からするとサイト構築において要件定義が重要な工程である、ということは当たり前ですが、ご担当者さまの立場で見ると設計書やワイヤーフレーム、サイトマップなど「”モノ”としてサイトのイメージを実感できる内容」の議論を早く進めたほうが良いのでは…?という印象を持ってしまう場合もあると思います。

そこで、視点を変えて仮に要件定義をおこなわないとサイトはどうなってしまうのでしょうか。仮に要件定義をおこなわなかった場合、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • サイトの目的や判断基準が玉虫色になってしまい、制作物も曖昧なものになる
  • 達成すべきゴールと現在の状況の距離感が掴めずプロジェクトの良し悪しが判断できない
  • 制作の仕様や進めかたが場当たり的な対応になり、問題発生時に適切な対処ができず混乱する
  • 担当者や関係者の変更などがあった場合、ふたたび軌道にのせためのコストやリスクが大きくなる
  • 公開後の運営が計画的におこなわれない(PDCAが機能しない)

サイト構築において「公開までまったく問題が起こらなかった」というケースは弊社が知りうる限りありません。なぜならサイトの目的、企業さまの体制や関係者の意思やリテラシー、サイトの状態、費用や技術的な制約や公開時期などさまざまな条件のもとにサイトは構築されるためです。そこにはどうしても大小限らず何かしらのリスクや認識や意見の食い違いは存在しますし、そのリスクが問題に繋がってしまう可能性はゼロではありません。

要件定義はサイト構築に潜むリスクを考慮し、発生しそうな「問題の芽」をできるだけ先に取り除いてサイト構築をおこなうための「備え」です。本来起こるべきではない問題を出来るだけ未然に防ぎ、関係者が本質的な議論をおこない、価値あるサイトを構築するための工程と言えます。

 

Webサイトの要件定義。実施前に押さえておきたい要素・進めかたをご説明

要件定義を構成する要素

では要件定義にはどういう要素を入れるべきか、ここでは24.incで要件定義をおこなう場合に定義している要素と、それぞれの内容を固める際のポイントをご紹介します。

要件定義に必ず入れておきたい要素

※プロジェクトによって内容は変動します。
※要件定義以外にも「ワイヤーフレーム」「CMSの仕様設計書」なども存在しますが要件定義に絞りました。

◎リニューアルの役割と目的

・役割は企業のビジネスとして、サイトがどういう位置づけ/機能を有しているかを定義
・目的の記述は誤った解釈が起こらないよう、具体的に記載する

◎全体構想

・他サイトやGoogleなどの外部メディアも含めたサイトへの来訪経路
・サーバやCMSなどの構成図
・MA(マーケティングオートメーション)など、外部ツールとの関係

◎想定利用者と利用者ごとのニーズ

・ターゲットおよびペルソナ
・ペルソナのニーズと、対応するサイトで提供する機能/コンテンツ

◎全体情報構造

・抽象化/図式化した大まかなサイトマップ
・階層情報やページタイトルなどを網羅した詳細なサイトマップ

◎目標となる指標

以下の3つを定めています。
・KGI(Key Goal Indicator)​​
・KPI(Key Performance Indicator)​​
・PI(Performance Indicator)​​
※各指標の関係性や、指標を目標として設定した理由なども記載します。
※計測期間や時節による変動などがあれば補足しておきます。

◎技術要件

・OSごとの対象ブラウザ
・画面解像度(デスクトップ/スマートフォン)
・サーバ情報(接続情報/接続方法)
・導入するCMSパッケージの種類やバージョン
・データベースやプログラム言語のバージョン

◎発生業務と役割

発生する業務ごとに以下のような役割を設定
・主担当(その業務を責務とする担当者)
・協力担当(責務ではないものの、内容の確認などで関与する担当者)

◎スケジュール/ロードマップ

・月単位/週単位のような公開までの大まかなスケジュール
・日付単位での公開までの詳細スケジュール
・年度のような単位で取り組みの方針を定めたロードマップ

◎プロジェクト体制図

このように要件定義では広範囲の内容を対象に議論して定めていきますが、「ここで挙げた項目を順番に埋めていけば大丈夫」という訳ではありません。

さきほど挙げた要件定義の要素はもちろん重要なのですが、これらの内容はあくまで「要件定義の工程でおこなったヒアリングや議論の結果、決定・集約されたもの」として意識いただいたほうがイメージとしては近いでしょう。

目的やプロジェクトの置かれている状況次第で要件定義の工程ではさまざまな議論が行われます。要件定義の工程で発生する議論を通じて双方の意識のズレを埋めたり、デザインやコンテンツといった工程に影響する要素のインプットも含まれます。

そのため、要件定義はアウトプットである要件定義書も重要ですが、それと同じぐらい合意形成を図るためにおこなわれる一連のコミュニケーションも要件定義の「納得度」「理解度」を上げるために重要な要素と言えます。

 

要件定義を効率的に進めていくためのポイント

ここまで読んでいただくとお分かりのように、要件定義は一言で表すと「めんどくさい」工程です。曖昧な内容を出来るだけ無くしていくため「なんとなく」で済ませる部分を排除し、ときには社内間で対立する意見をまとめていくことも必要になります。

そんな苦労が多い工程だからこそ、出来るだけ円滑に、関係者が活発に議論しながら進めていけるような環境を準備していくべきだと考えています(ここはサイト構築会社である我々の責任が大きいです)

これまで要件定義に含める要素についてご説明しましたが、ここでは要件定義をできるだけストレスなく進めていくために、24.incで気をつけているポイントを挙げます。

要件定義を円滑に進めるポイント

◎最初からまとまった資料にしない

要件定義が持っているイメージとして「パワーポイントやPDFなどでカチッとキレイにまとまったドキュメント」をイメージしがちですが、最初から完成形のような体裁にすることはリスクとも言えます。もちろん、読みづらかったり分かりづらい資料は論外ですが最初から図にする、レイアウトをキレイに整えると、どうしてもその見た目に満足してしまい、肝心の内容の議論が不十分になったり認識のズレが生じがちです。

ケースバイケースではありますが、24.incではWordやEXCELといった、ご担当者さまや関係者にも馴染みのあるツールを使い、最初は文章中心で議論や内容を固めていき、最後の要件定義書の段階では図などを用いて分かりやすさもくわえて完成形としてまとめるようにしています。

◎要件定義に関与するメンバーを決めておく

制作段階は要件定義で定めた内容に基づいて進みます。もしこの段階で要件定義の内容に変動が発生すると構築が途中でストップしてしまいますし、内容によっては公開時期や費用などプロジェクト全体に影響を与える問題となる可能性もあります。

要件定義の内容が途中で変わってしまう原因の1つとして「要件定義が固まりそうな段階で社内の情シス担当者に確認を取ったところ、技術面での必要条件が他にあった」「デザインについて役員に確認を取ったところ、要件定義で議論していなかった課題が明らかになった」というように発言権や影響力が強い関与者の意見によって再検討が必要になるケースがあります。

担当者の視点と、経営層や他の関係者の視点が違う、というのはよくあるケースですし、視点の違いを議論によって埋めて「落としどころ」を探るというプロセス自体は健全だと思います。問題はこの議論がプロジェクトの望ましいタイミングで行われないことですので、あらかじめ要件定義に関与するメンバー(または関与しないメンバー)を定めておくことで要件定義を効率的に進めることができます。

◎要件定義の打ち合わせは「議論」の場にする

要件定義は「ここで挙げた項目を順番に埋めていけば大丈夫」という訳ではない、ということをご説明しました。そのため、打ち合わせは「書いている内容に抜け漏れがないか」といった点ももちろん重要なのですが、それ以上に打ち合わせという場を内容そのものの「議論」の場として機能させることがあるべき姿と言えます。

「書いている内容に違和感がある」「書いている説明が分からないので社内で流通しにくい」「内容として整合性が取れていない」といった点について、議論することで内容は精錬されます。

また、これは弊社で要件定義を進める場合に気をつけていることですが、要件定義として提示した内容に対して比較検討した内容があれば一緒に提示をしています。どうしても唯一解だけを提示すると「そういうものか」とご納得いただけますが「こういう考え方もあったんです」ということもセットで提示することでお客さまのなかでも比較が行われ、意見が出やすくなります。その結果「AでもBでもなくXという解」が導き出されることもあります。

要件定義を効率的に進めていくためのポイント

要件定義はサイトの質やプロジェクトの質に影響する

要件定義はサイト構築の最初の段階でおこなわれるため、サイトの様子や状態、業務の進めかたも十分にお互い理解・把握していない状況下で関係者間でおこなわれる場合が多いものの、その内容次第でサイトの質が左右される重要な工程です。

要件定義は確かにサイトを「作る」ために必要な工程ですが単にサイトを「作る」ためにあるものではなく、イト構築という大半のご担当者さまにとって未知となる取り組みを安全に、出来るだけ気持ちよく納得感を持って進め、何か起こっても冷静に対応するために下地となる「環境づくり」とも言えます。

 

Webサイトの要件定義や構築でお困りごとがありましたら24.incへご相談ください

24.incではBtoBを中心に産業機器分野からエネルギー分野、ソフトウェアまでさまざまな業種のサイト要件定義をご支援しています。要件定義だけではなく、サイト構築やWebマーケティングの計画策定コンテンツ支援なども対応しておりますので、Webサイトの活用や構築でお悩みの方はお気軽に24.incへいつでもご相談ください。

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