
はじめに
「AIで会議の議事録を要約」「ChatGPTで資料の言い回しをチェック」など、ビジネスシーンの生成AI活用を目にする機会が増えたのではないでしょうか。書店を見ても、いつの間にか「AIコーナー」の棚にはさまざまな書籍が置かれるようになりました。
これらのタスクを生成AIで効率化することは、たしかに個人レベルの業務改善という点では魅力的ですが営業部門のような組織レベルの生産性を大きく向上させるという観点で考えた場合、その効果は限定的です。
2020年から生成AIの能力は飛躍的に向上しました。信頼性や汎用性も高くなり、企業においても生成AIは「使えるかどうか」ではなく「どのようにビジネスに活かすのか」を考える段階になっており、BtoB製造業もこの例に漏れないと考えています。
24 INC.は長年、BtoB企業のウェブサイト制作をご支援しており、先ほど挙げたような個人レベルの業務に生成AIを使っている話はよくお伺いしますが意外に組織の生産性向上という観点で生成AI活用を意識して計画を進めているBtoB企業さまは、まだまだ少ないように感じます。
この記事おいてはBtoB企業さまが組織レベルで生成AI活用を検討していくための考え方や利用イメージをお伝えします。「人材不足」や「高齢化」など営業部門が抱える課題を解決し、生産性を向上するためのヒントになれば幸いです。
生成AIで営業部門が抱える人材問題を解決
経済産業省
「2022年版ものづくり白書」によると製造業の就業者数は1,202万人から1,045万人へと157万人減少、現時点で最新の2024年調査でも1,046万人と横ばいです。その反面、高齢者就業者は58万人から91万人へと33万人増加、2024年も88万人と高い水準を保っています。
このことから、いかにBtoB企業はベテランの暗黙知を形式知として体系化し、若手に継承するかが解決すべき大きな課題と言えるでしょう。この記事をお読みいただいているBtoB企業のご担当者さまのほうがこの課題を実感されていて、何かしらの対策を進めているのではないでしょうか。
わたしたちがよくお伺いする解決策は以下のような方法です。
- 社内勉強会
- 過去の事例や製品資料のデジタル化
- 業務マニュアルの整備
しかし、これらの取り組みは実際にやってみると「旗振り役がいないと続かない」「1回やって満足しただけで効果が見えにくい」「負担が大きすぎて進まない」といったことはないでしょうか。意外にこれらの方法は思いつきやすいものの、いざ進めるとなると大変なものばかりです。
ここで有効な解決策として挙がってくる方法が生成AIの活用です。ただし、ChatGPTなど一般利用されている生成AIをそのまま利用することは現実的ではありません。
なぜなら、一般利用されている生成AIは回答の情報元を指定できないので企業特有の質問に対する回答精度は低く、そもそも企業特有の質問自体がセキュリティ面から不可能ですのでBtoB企業が組織レベルで活用するツールとしてそのまま使うことは困難です。
そこで24 INC.ではRAG技術を用いた社内AIアシスタントの開発・運用が解決策になると考えています。
RAGによる社内AIアシスタント
「RAG」とは生成AIの言語モデル(LLM)の能力はそのままに、生成AIが回答時に参照元にするデータを個別に設ける技術です。
通常、ChatGPTはこれまで学習した膨大な情報を参照して質問に回答します。個人レベルではこれで十分とも考えられますが、組織で活用するとなると話は別です。
なぜなら、不確かな情報に基づいた回答は業務に使えませんし、組織で活用できるレベルにまで生成AIからの回答精度を高めるためには社外に出せない以下のような企業固有の情報を生成AIに「教材」として学習してもらう必要があるからです。
- 過去の製品サポート対応記録
- 製品設計書に記載されている内容
- 製品提案内容と結果
このような情報を一般公開されている生成AIに提供することはセキュリティ上、不可能です。そこでRAGの登場です。RAGを使い、生成AIが参照元とする情報をセキュリティが担保された環境を用意して保管すれば、社外に出せない情報を公開することなく生成AIの能力を活用することができます。
また、社内メンバーの負担という点で見ても社内AIアシスタントの開発・運用はメリットがあります。
例えば勉強会で使う資料やマニュアルを社内で用意する場合、当然ながら資料やマニュアルは社内で作成する必要があります。これは非常に労力のかかる作業です。RAGであれば、そのような作業は不要です。運用前の情報収集や整理は必要ですが、さまざまなフォーマットのデータをデータベースに取り込めるため、ゼロから資料を作成する手間はなくなります。
むしろ、いかに社内のさまざまな「使える情報」を集めるかがポイントになります。社内AIアシスタント用の専用データベースに教材となる情報を蓄積すれば、そのぶん社内AIアシスタントの回答精度は向上しますし、さらにはAI固有の創発的能力(※)も発揮されるため、これまでの、そしてこれからの自社内の暗黙知を体系化し、知識やノウハウを「資産化」できます。
※ 創発的能力:学習したデータを基に新たな視点や解決策を自律的に導き出す力
社内AIアシスタントは、企業が培った知見やノウハウなどの資産を活かして望ましい結果を出すインターフェイスのようなものです。
営業部門の社内AIアシスタント活用シーン
営業部門にAIアシスタントがにいれば、以下のような活用方法が実現できます。
これらはいずれも商談獲得率の最大化、提案などの品質平準化など組織全体の生産性向上や暗黙知を体系化することによって若手への業務知識やノウハウの継承という点でも効果的です。
製造業も多分に漏れず、顧客ニーズは多様化しています。多様化した顧客ニーズに対する最適解を示し、顧客の判断をサポートするのは人間の役割ですが判断に必要な材料すべてを過去のデータも含めて洗い出し、整理することは不可能です。
生成AI活用は、まさにこういった点で優れた組織内のインターフェイスとして機能すると考えています。
生産性向上でお悩みのBtoB企業の方へ
24 INC.はBtoB企業さまを中心に生成AIの導入・運用支援、ウェブサイトの制作をご支援しています。要望をそのままカタチにするのではなく、お客さまがビジネスで抱えている悩みや求める成果から最適な解決策を戦略立案から制作、運用まで一気通貫でご支援します。
ウェブサイト制作やAI導入・運用でお困りでしたら、
お気軽にご相談ください。お客さまの置かれている状況をお伺いしながら、最適な解決策をご提案させていただきます。