BtoB企業でWebマーケティングやWebサイトに関わるご担当者さまで、サイト集客やリード獲得強化のために「コンテンツの設計や制作」を検討・推進されている方は多いのではないでしょうか。
24.incにもコンテンツの設計・制作をご検討されているお客さまからご相談をいただくことが多いですが、以下のようなお悩みをよくお聞きします。
このような悩みをお持ちのご担当者さまに経緯や状況をお伺いすると「企画」や「執筆」などいきなりコンテンツを「カタチ」にするところから業務を進められており、その前に必要となる「コミュニケーション設計」を十分おこなっていないことが多く見受けられます。
そこで今回は、コンテンツをカタチにするためにも必要な工程であるコミュニケーション設計についてご説明します。
コンテンツの設計・制作は、あらかじめ「誰に」「何を目的として」「どのように」「どうやって」伝えるのかを定めた上で具体的な内容を固めていく必要があります。この工程がコミュニケーション設計であり、24.incでも以下のような内容を固めてからコンテンツの設計・制作へと進めています。
また、ターゲットとして定めたペルソナはBtoBの場合は企業担当者(例えば「生産管理部の課長」など)になりますが、ペルソナは常に同じ情報に対してニーズを持っているとは限りませんし、製品やサービスの検討状況や検討時における関与者(例えば「部下である担当者」や「上長である部長」など)によって発生する情報ニーズは異なります。
こういった情報を整理しないままコンテンツの設計や制作に進めてしまうと、どうしても「場当たり」的な取り組みになってしまうことは容易に想像できるかと思います。
そのため、これらの要素を洗い出して整理し、体系化する必要があります。24.incでは「ペルソナ」や「バイヤージャーニー」を一連のコミュニケーション設計としておこないます。コミュニケーション設計では「対象とする市場」や「製品・サービスにおける競合比較や優位性の導出」といったコンテンツの制作に必要となる要素もこの段階で議論して内容を固めていきます。
コミュニケーション設計でどのような内容を設計して固めていくかについてはご理解いただけたかと思いますが、コンテンツの設計をおこなう前に、なぜコミュニケーション設計をおこなうのか?理由としては大きく2つあります。
当たり前に聞こえるかも知れませんが、コミュニケーション設計をせずにコンテンツをカタチにしようとすると「とりあえず作れそうなものを作る」パターンに陥りがちです。その代表例が「用語解説」や「業界のトレンド解説」のようなコンテンツです。
もちろん、これらのコンテンツも有効ではない訳ではありません。しかし読み手であるペルソナとのコミュニケーションを意識して設計・制作されたコンテンツと、その意識がないコンテンツでは仕上がりは別物になります。
また、必要性が分からないまま作ってしまうため、例えばペルソナである読み手の製品・サービスに対する理解度やリテラシーが高い場合、「用語解説」や「業界のトレンド解説」といった情報はそもそも「ニーズ自体発生していない」可能性が高いことも考えられるため、結果的に「誰にとっても役に立たない」コンテンツになってしまいますし、当然ですが目的に対して貢献できるコンテンツにもならないと言えるでしょう。
コミュニケーション設計ではペルソナが製品・サービスに対して意識が低い(またはない)状態から初期検討・リード化・発注(受注)といった一連の検討から商談・発注における状態の移り変わりを設計します。つまり、そこから設計・制作するコンテンツも状態の移り変わりを意識した一連のストーリーとして設計します。
ストーリーを意識せずに設計を進めるとコンテンツは「細切れ状態」になってしまい、個々のコンテンツ同士の関係性は薄くなります。結果、Webサイトで提供するコンテンツはどこまでも「点」としての存在に留まってしまい「線」として繋がらない状態になります。
BtoBの検討プロセスは製品やサービスによって変動しますが、企業という単位で検討が進むため組織的に、且つ段階的におこなわれることが多いでしょう。そのため、1回の訪問で複数のコンテンツをストーリーに沿って読み進めていくケースは稀ですが、コンテンツも検討段階に合わせた提供することを意識して設計や制作をおこなうことが重要です。
また、ひとつのコンテンツに盛り込める要素にはそもそも限界があります。読み手であるペルソナが抱えるさまざまな課題や問題の共感を得る説明から解決策の必要性の解説、提供する製品・サービスの説明までを1つのコンテンツが担うことは現実的に考えても困難です。読み手のことを考えると、コンテンツを理解しやすい範囲でまとめた「点」として配置して、それらのコンテンツをリンクなどで繋げることで検討段階に応じて読み進める「線」として提供することが現実的ではないでしょうか。
コミュニケーション設計で内容を定義し、ここからコンテンツ単位でのテーマを具体化/一覧化させていきます。
イメージが湧きやすいよう、具体例を通じて説明します。以下は特定の企業の情報は紹介ができないため、コミュニケーション設計の一部を切り出して、内容を抽象化させた内容です。
【サンプル:コミュニケーション設計で定めた内容】
◎Webコンテンツ提供企業:
製造現場向けの品質管理システム「A」を販売している企業。
集客/リード獲得を強化したい
◎誰に:
製造機器メーカー企業(中堅)の生産管理部課長。
生産性向上に対して慢性的に課題意識を持っており、役に立ちそうな情報を収集している
◎何を目的として:
品質管理システム「A」検討・導入してもらいたい
◎どうやって:
企業サイトで掲載するWebページとして提供
コミュニケーション設計で、上のような内容を議論を経て固めた上で、ここから進めるコンテンツ設計では「どのように」にあたるコンテンツごとの「テーマ」や「論法」を掘り下げながら設計します。
例えば、ここで「誰に」として定めた企業のペルソナは「生産性向上」に対して課題意識を持っているため「生産性向上」をキッカケとして接点を持つことが有効でしょう。
コミュニケーション設計では、このぐらいの粒度で良いのですがコンテンツ設計においては「生産性向上」という点をさらに掘り下げます。例えば以下のように個々の内容を掘り下げていきます。
このように大まかなキッカケとなるテーマを軸にコンテンツ設計段階では更に深堀りして具体化/一覧化をおこないます。そこからコンテンツ単位のテーマごとに読み手であるペルソナの情報ニーズを満たし、且つ自社のサービスに対して意識を向けてもらうような論法を組み立てていきます。
24.incではテーマごとに以下のような「コンテンツマップ」を作成し、大まかなテーマから細分化したコンテンツ単位のテーマを具体化/一覧化しています。
コンテンツの設計段階ではコンテンツ単位で複数テーマが導出されますが、一気にすべてのコンテンツの設計・制作を進めることは現実的ではないため、実際は優先度の高いものからコンテンツの設計・制作を進めます。
優先度もコミュニケーション設計で十分な議論がされていれば、自社としてバイヤージャーニーのどの状態のペルソナに対し十分アプローチ出来ていないのかは明確になっているはずですので、注力領域と定めた状態に対応するコンテンツから進めていくことになります。
※ただし、ブログ形式のコンテンツやWebページ、PDFなどのダウンロードなどコンテンツのフォーマットはさまざまですし、提供方法によってすぐ効果が出やすいもの(既に訪問数のあるWebサイト上でのページ制作)と、効果が出るまでに時間を要するもの(SEOなどに代表される、集客コンテンツ)があるため、提供方法によるリスクや状況を踏まえて優先度は検討することが望ましいでしょう。
24.incではBtoBを中心に製造機器やSaaS、教育関係などさまざまな企業さまの集客やリード獲得強化に向けたコンテンツの設計から制作・運営までワンストップでご支援しています。Webサイトの要件定義や構築、システム開発も対応していますのでWebマーケティングに関してお悩みでしたらお気軽にご相談ください。