企業にとってWebサイトをリニューアルすることは年々、その重要性が増しています。その背景にはWebサイトが広報媒体に留まらず、見込み客の獲得や新しいユーザーとの接点獲得など、自社のビジネスにおいて非常に重要なチャネルになっている点や、社内でも広報部門やマーケ部門、サポート部門などの各部署が目的に応じてWebサイトを活用する点などが挙げられます。
Webサイトリニューアルを成功に導くためには大中小問わず、多くの検討・意思決定が必要になりますが、最初からすべての検討事項を把握した上で、一度にWebサイトリニューアルに関するすべての内容の検討と意思決定をおこなうことは現実的ではありませんので、内容を検討していく上では「適切な順番」があります。
この記事では、Webサイトリニューアルをこれから進めることを検討されている方に向け、まず最初に把握しておくべき「大きな流れ」について解説をします。この記事を読んでいただき、リニューアルの全体像をイメージし、自社のWebサイトリニューアルの推進にお役立てください。
Webサイトのリニューアルを検討し、進めていく際、まずはじめに意識しておくこととして現在のWebサイトリニューアルはただ「Webサイト」だけをリニューアルするだけでは完結しにくいケースが多い、という点を意識しておく必要があります。
よく考えれば「Webサイト」という言葉が何を指しているのか?というのは非常に曖昧ですよね。そこには「デザイン」や「写真」「掲載文章」といった目に見える情報もあれば、問い合わせフォームや製品検索といった仕組みも含まれるでしょう。さらにはSFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)との連携や、オンライン広告といったWebサイトに含まれないものの密接に関わる要素もありますよね。このように、Webサイトは様々な要素で構成・関連付けされており、複雑さが増しているのです。
ですので、WebサイトのリニューアルはWebサイトだけで完結するケースは非常に少ない(またはあえてWebサイトだけにする)ことを意識した上で、計画を立てていくことをお勧めします。
ここから本題ですが、冒頭でお話したようにWebサイトリニューアルを成功に導くためには多くの検討・意思決定が必要になり、内容を検討していく上では「適切な順番」があります。
特にリニューアルの初期段階ではまだまだ各要素が固まりきっていないことからも、抽象度の高い内容の議論から固めていき、徐々に具体的な内容を詰めていくというアプローチが有効です。
このように、リニューアルではまず最初に「基礎計画」を固めておくことが重要です。ここの内容を十分議論していないと、その後のアウトプットの内容や検討・意思決定の場面で関係者間の根本の認識がズレたり…という問題が起こってしまいますので、最初の計画立てはとても大事です。
この記事では上の図の一番左側に位置する「基礎計画」に含まれる「目的」「範囲」「条件」「体制」について解説をしていきます。
まず始めに目的です。目的を検討する上で気をつけるポイントとして「Webサイトのデザインを新しくする」「内部で更新できるような仕組みを入れたい」「モバイルでの閲覧を最適化する」など、手段を目的にしてしまうケースに陥らないようにすることです。Webサイトをリニューアルすれば、これらの「手段」はほぼ間違いなく実行されることからも「目的」とは言えません。
目的は「Webサイトをリニューアルすることで成果として得たいこと」を明らかにする工程です。
一例を挙げますと、
などが考えられます(もちろん、実際にはここから更に詳細化していきます)
また、サイトリニューアルの目的を一つに絞ることは現実的に難しいと思いますので、ここでは挙げた目的に対して優先度を付けることをお勧めします。
優先度を付けておくことで、リニューアルの計画立ても効率的におこなえますし、デザインやコンテンツを考えていく上で関与者間での共通の判断基準にもなります。
基礎計画段階では、この「目的の明確化と優先付け」が最初のステップです。目的は、リニューアルが進み、仕様や条件を決めていく「要件定義」の工程では、より目的をより細分化・定量化していく必要がありますが、まずは大きな方向性を定めておくのが良いのでしょう。
次に決めるべき内容として、そもそも「Webサイトリニューアル」というプロジェクトの対象をどこからどこまでにするのか、リニューアルの範囲を定めます。
Webサイトはご説明したように関連する多くの要素で構成されているため、仮に「Webサイトの集客数を増加したい」という目的に対しても、その目的に対して弊社(24.inc)のようなWeb構築会社が同じ施策を企画し、業務をおこなうとは限りません。
従ってリニューアルを進める際は対象範囲と対象業務を大まかにまとめ、プロジェクトで扱う領域をある程度あらかじめ定めておくことが望ましいでしょう。
範囲を決める軸の例としては以下です。
これらをあらかじめ社内で議論し、確定しておくとリニューアルの対象範囲が明確化されますし、そのことでWebサイト構築会社も具体的な施策をまとめやすくなります。
リニューアル範囲と関連する内容としてリニューアルの条件があります。このリニューアルの条件はWebサイトで表面化しない内容が多く含まれるものの、実務面においては必要性の高いものです。
あとから条件が追加になったり変更になるとプロジェクトの業務やスケジュールへの影響度合いも大きいですし、内容の確認や調整には複数部署を横断するケースも多いため、あらかじめ事前に定めておくほうが良いでしょう。
リニューアルの条件については、最終的にWebサイト構築会社へ依頼してリニューアルや構築を進めていくにあたって必要となるRFP(提案依頼書)や要件定義でさらに細かい内容をまとめていくことになりますが、まずは社内での議論の必要性が高い以下については議論をしておいたほうが良いでしょう。
最後が体制です。Webサイトリニューアルは「目的に必要な要素・打ち手を」「定められた期間で」「関係部署と協議・調整しながら」「Webサイトというフォーマット上で具現化する」プロジェクトです。
リニューアルの構築初期の段階では関係者がまだ見ていない(具現化されていない)ものに対して、議論をしながら内容を決めていかなけばいけないため、コミュニケーションが重要になります。そのなかで難易度の高いコミュニケーションの一つに関係部署とのやり取りがあります。
Webサイトやコンテンツに対する見かたは人それぞれです。自社内だと営業部門・顧客サポート部門・広報部門・マーケティング部門・IR部門など…さまざまな部署が、その部署のモノサシでWebサイトを評価します。
従って、これらの部署と円滑にコミュニケーションをしながら意思決定をおこなうための体制/仕組みづくりがWebサイトリニューアルでは非常に重要です。
仕組みづくりはWebサイト構築会社が主導するとは言え、自社内での体制はあらかじめ固めておく必要があります。体制固めについては以下の点を決めておいていただいたほうが良いでしょう。
Webサイトリニューアルを進めていくために最初のステップについてご説明しました。リニューアルは、実際のデザインなどの制作やシステム開発、コンテンツの設計や制作、解析ツールの設定…など、多岐にわたりますが、Webサイトリニューアルを成功させるポイントは最初の計画によって導出される「目的」「範囲」「条件」「体制」が基盤となります。
弊社などのWebサイト構築会社は、そのノウハウや経験値から状況に応じてある程度柔軟に対応をおこなうことが出来ますが、企業の場合、担当者の方がWebサイトリニューアルのノウハウや経験を有していることは非常に稀です。
そのため、なるべく想定範囲外のことが起こらないよう、目的を達成するための内容に注力していただくためにも最初の基礎計画ついては是非社内の関与者で議論することをお勧めします。
24.incではWebサイトリニューアルの計画・戦略策定からご支援していますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。