Webサイトで発信するコンテンツは集客や見込み客との接点獲得において欠かせない一つの要素ですが、実際にコンテンツの企画や制作を進めるとなると具体的にどこから手を付ければ良いのか、何を前もって決めておく必要があるのか…といった業務計画上の様々な問題や課題に直面します。
この記事では、コンテンツの設計・制作に関するこれらの問題や課題に関するポイントについて、計画立てなどの「企画面」と実際に制作をおこなっていく「実務面」に分けてご説明しますので是非参考いただけると幸いです。
「コンテンツを企画する」と聞いて思い浮かべるのは「内容はどうしよう?」「どういうテーマから作っていけば良いんだろう?」など、個々のページに掲載する具体的なコンテンツの内容が最初に頭に思い浮かぶかと思います。
もちろんそれも大事なのですが、その前にまずは俯瞰的な視点で「継続してコンテンツを制作・発信していく取り組み自体の全体計画」を組み立てることをお勧めします。※この記事では「全体計画」を中心にご説明します(個々のコンテンツにおける企画は別記事にてご説明します)
Webサイトへ掲載するコンテンツは一つだけ、ということはまずありません。対象となる製品やサービス、それらの認知・検討から購買に至るプロセスごとに発生する読み手のニーズに対応してコンテンツを制作・発信しますし、発信側である企業でも時節やキャンペーンなどをキッカケとしてコンテンツを制作するケースもありますので、結果としてコンテンツの取り組みは中長期的なものとなります。
また、コンテンツは当然ですが個々に「役割」や「目的」があります。そして、その「役割」や「目的」を決めていく場合に判断の基準となるコンテンツを発信していくという取り組み自体の「目的」「役割」をあらかじめ決めておく必要があります。
仮にコンテンツの全体計画を事前に立てておかないと、どのような問題が発生するのでしょう?
Webサイトへ掲載するコンテンツは様々な切り口(テーマ)や、フォーマット(インタビュー形式や解説形式など)など、高い自由度で制作することができます。
ただ、自由度が高いことでコンテンツは担当者の解釈、その時の状況などによって様々なタイプのコンテンツを企画・制作することが出来てしまう、という問題も生じます。
24.incでも既にコンテンツを何かしら継続して制作・発信しているお客さまからご相談をいただく際、「目的が曖昧で、何のためにやっているか分からなくなってきている」「個々の担当者の判断基準でコンテンツのテーマを決めて制作しまっているため、全体で見て正しい方法かの見極めが出来ない」といったご相談があります。
そういったケースでは大抵、この事前に組み立てておくべき全体計画のプロセスが抜けている場合が多く見受けられます。
コンテンツ運営初期は「あれもやりたい」「これもやりたい」と色々な要望が部署内でも湧き上がるケースが多いので「このまま続けていれば大丈夫だろう」と思い、運用がスタートしがちなのですが、その結果、6ヶ月〜1年ぐらい経過すると徐々に上記のような問題が起きがちになってしまうことも少なくはありません。
ではコンテンツを制作・発信する前の全体計画ではどのようなことを決めておけば良いのでしょうか?以下は最低限、決めておきたい内容です。
1:発信するコンテンツの目的/位置づけは?
「みんな目的と考えているものは一緒では?」と思いがちですが、実際に擦り合わせると意外に異なっていることに驚くはずです。「製品の特色を説明すべきだ」という人もいれば「SEOが出来ていないキーワードでコンテンツを作ろう」「事例を紹介したい」など「リードを獲得する」という目的だとしても考えているアプローチは個々人で異なります。これらを一つに絞るのは難しいですし、全てを同時におこなうのも難しいため、社内で優先度を設定しておくことをお勧めします。
2:ターゲットオーディエンスは誰か?
目的に密接に関連してくるものが、このオーディエンス(読み手・サイト来訪者)です。どのぐらいの規模のどういう業種の企業なのか?企業規模によって登場人物は増えたり減ったりします。そのなかで情報収集する担当は誰か?業界知識はどの程度か?など、企業レベル・担当者レベルで読み手の設定をしておきましょう。
3:オーディエンスの状態は?
読み手の設定とセットに状態も設定しておくことをお勧めします。すでに商品・サービスを知っているのか?検討を始めているのか?など、状態によって求めるコンテンツは異なるためです。
4:Webサイトへの掲載仕様は?
コンテンツのことに目が向いがちですが、掲載する場所やページの体裁も重要です。どこに掲載するのか?カテゴリやタグ、検索機能は不要か?見出し用の画像制作は社内でおこなうのか?など公開に向けたタスクも洗い出しておいたほうが効率的に業務が進みます。
5:効果指標は?
効果指標の設計は初期段階で決めておくことをお勧めします。コンテンツの目的や役割によって効果指標の設計はさまざまです。また、効果というとお問い合わせや資料ダウンロード等のコンバージョンを意識しがちですがコンテンツ、特に情報収集段階の場合、コンテンツを見てそのままお問い合わせへ…というのは非常に稀ですし、制作したコンテンツがきっかけで来訪し、数カ月後に再来訪してお問い合わせ、というケースもあるため検討が必要です。
効果指標は「KGI(ゴールと定める指標)」「KPI(これが増えるとKGIも増えるという相関性を持つもの)」「PI(KGIやKPIへの貢献への関係性は強くないが見ておくべき指標)」で分類して設定することをお勧めします。
コンテンツ設計・制作における「全体企画」は社内での方針のズレを解消するだけではなく、その後に実際にコンテンツを制作する際には編集者やライターがストーリー設計や執筆をおこなう上でも有効です。
また、効果指標などは社内で「なんとなく…」で初めてはみたものの、年度末や四半期などの振り返りのタイミングで突然、コンテンツの費用対効果などの議論が湧き上がってしまい…といったケースもあります。全体計画はこれらの社内/社外いずれの課題・問題も解消して業務遂行を効率的におこなうことが出来ますので、是非ご検討ください。